堀研定例研究会でのJさん(N研)の発表が面白かったのでメモしときます.
Jさんは博士課程の大学院生ですが,SWO(Sine Wave Orchestra)という音楽(音響?)活動をやってます.楽器(と言っていいのかな?)がとても特徴的で,サイン波のみを用います.SWOはだれでも参加できて演奏者と聴衆が渾然一体となって音響作品を作り上げるというコンセプトなのだそうです.この音響作品は,物理的にはサイン波の合成によって作られる音場です.
Jさんは上記SWOのコアメンバー4人でSWQ(Sine Wave Quartet)というのもやっているそうで,こちらは4人の演奏(パフォーマンス)を聴衆が聞く(見る?)というスタイルなのだそうです.SWQでは「メンバーの4人が演奏する」という形式にはなっていますが,完成された作品を聴衆に聞かせるというのではなく,「その日その場限りのパフォーマンス・完成作品」を会場の雰囲気を取り込んで作り上げるという考え方のようです.「その日その場限り」という考え方はSWOと共通しています.
でもって,今日のお話はこのSWQで使っている(特殊な)「楽譜」が題材でした.この「楽譜」が,彼らのパフォーマンスをより創造的なものにするのに役立っているのではないか?(既存の楽譜を用いたのではSWQの演奏はうまく行えないのではないか?)という主張でした.
Jさんによれば楽譜の役割は,
というだけでなく
としての役割があるのだそうです.
でもって面白いのが,通常は「作曲」と「演奏」というのは分離されているはずなのですが,SWQの場合は「その場で作曲し,演奏する」という具合です.
※「作曲」なのか「編曲」なのかはよくわかりませんが,SWQのコンセプトや変更の自由度の大きさを考えれば「作曲」と言ってよいように思います.
※一流の演奏家は,楽譜に記録されている音を機械的に再生しているだけではなくその人なりの演奏方法を実践しているはずです.その意味で非常の知的な活動をしているはずですが,「作曲」とは違います.
となると,楽譜に「何を表現すべきか」・「どのように表現すべきか」といったことが,従来の楽譜とは違ってしかるべきという気がします.
彼らの使っている(特殊な)「楽譜」というのは日本語で書かれていて,
ゆ〜〜〜くりはじめて,フォファフォファフォファフォファ.
会場の空調の音も分かるように.
ドドドドド.
という具合です.(注:うろ覚えですので,実物とは異なります.)
小中学校でならった五線譜の楽譜とはかけ離れてます(^_^;)
「楽譜」という道具が彼らのパフォーマンスに与える影響の具体的なメカニズムはまだまだわかりませんが,具体事例として面白いと思いました.現在の表現方法が完璧というわけでもないでしょうし,これからどのように発展していくのか楽しみです.
それと(最後になりましたが),
「スケッチ」というのは,建築家が設計の初期段階でおこなうラフスケッチのことです.建築家にとってこの「スケッチ」というのは非常に重要なプロセスなのだそうです.スケッチしてみて初めて気づくことが多々あっるのだそうです.この「スケッチ」ですが,創造活動支援研究では「外在表現が人間の創造的思考を促進する」というのの例としていつも挙げられます.
「楽譜」と「スケッチ」が似たような役割を果たしているというのが創造できます.SWQの「楽譜」について研究することは,「作曲(+演奏)」という創造的思考における外的表現の役割を研究することになります.
創造活動支援の研究対象として非常に面白いと思いました.
ちなみに,Jさんのボスがオーガナイザをつとめるワークショップが開かれるようです.
"Sketching" Nurturing Creativity:
Commonalities in
Art, Design, Engineering and Research